
だいすきだよ
世界はバランスでできていることを知っているから、何か辛いことや悲しいことがおこっても、それが糧になって良いことに転ずることを、折に触れて伝えたいと思っています。
卒業式の季節です。センスのある若者たち。袴の柄に合わせたマスク姿が、とってもステキです。月日が経つのはあっという間で、「こないだ入学したのにね~~~」という声が、そこかしこで聞こえています。
小学2年生の息子が通う区立の小学校では先日、「おおきくなったわたしたち」という授業がありました。生まれたころや小さい頃の写真(充分まだ小さいけど)と共に、そのころのエピソードを周りにインタビューして、自分たちの成長を感じるという素敵な取り組みです。その中で、お父さん・お母さん(それに類する方)に、自分に宛てた手紙を書いてもらう、というものがあります。
いつものように締め切り直前に「明日提出だよ~~」と言われて、慌ててその夜書いた内容を読み返しました。そしたら私が日ごろ、メンタルへルスやストレスマネジメントの活動で伝えたいメッセージとリンクしているな~と感じたので、個人名だけ変えて紹介します。
==だいすきだよ===
まいにちげんきでいてくれて、ありがとう
あたらしくおぼえたことを、おしえてくれてありがとう
いつもたすけてくれて、ありがとう
おおきくなってもママをだいじにしてくれるっていってくれて、ありがとう
でもね、そんなことなにもしなくても、ママはあなたがだいすきなん
だよ。
それをいっぱい、その目でみて、心でかんじて、あじわってほしいです。
そしておなじように、いやなこと、かなしいこと、くるしいこと、さびしいことも、やってきます。
でもね、それはぜったいに、ずっとはつづかない。
いつかはかならず楽になるときがきます。
そして、いまはそれがすごくいやでも、かならずいいことにつながる。あなたをつよくしてくれることだったり、そのことのおかげでべつのいいことを見つけられたり。
いまはあんまりわからないかもしれないけど、おおきくなったらこのいみがわかるときがくるから、おぼえててね。

どんなにわがままでも、べんきょうできなくても、あなたのぜんぶがだいすきです。
あなたがいきるこのせかいは、ふしぎでいっぱいです。
ふしぎだけじゃなく、うきうき、わくわく、たのしいこと、こころがぎゅっとすること、うれしいこと…、たくさん、たくさん。
いまあなたがいきている人生は、あなたのものです。
ほかのだれのものでもない、あなたのもの。
だからあなたがしたいように、おもったようにすればいい。
なにかするとき「まわりのだれかがどうおもうかな」じゃなくて
「ぼくは、どうしたいかな」ってかんがえて、そっちをえらんでね。
そしたらもっと楽しくすごせるとおもうよ。
そしてこれはママからのおねがい。
ちかくにこまってるひとがいたら、なにかできないか、かんがえるにんげんになってほしいです。
そして、そのできることをしてほしいです。
にんげんはひとりじゃいきていけない。
あなたがうまれてからいままで、たくさんのひとたちが、たすけてくれています。
かぞく、しんせき、ほいくえんやがっこう、がくどうのせんせい、おともだち、きんじょのひと。えきいんさんもおみせのひともそうだし、きょうたべるおやさいや、おにくをつくっているひと、それをはこんでいるひとも。きゅうしょくをつくってくれるひとも。
あなたができないことをしてくれているひとはみんな、あなたをたすけてくれている人。
もしかしたらがっこうで「ひとにめいわくをかけるな」っていわれてるかもしれない。だけどにんげんはみんな、ひとにめいわくをかけながらいきてる、とママはおもいます。とくにこどものうちは、できないことがたくさんあるから、いっぱいめいわくをかけていいんだ、と、じつはこっそりおもっています。
たくさんのひとにめいわくをかけて、たすけてもらっていきているから、あなたがおおきくなったとき、だれかがめいわくをかけてきたり、たすけをもとめていたら、なにかできないかかんがえて、それをよろこんでやってほしい。いままでもらったものを、すこしずつ、ちがうだれかにかえしてほしい。
そうやっていきていけば、あなたのまわりに、フラフープみたいな”ありがとうのわ”がいくつもできて、あなたの人生が、どんどんどんどんあったかく楽しくなるから。
あなたのねがおをみるたび、おきてくるかおをみるたび、あったかいきもちになります。
だいじでだいじでたまりません。
そんなきもちにさせてくれて、ありがとう。
この世にうまれてきてくれて、ありがとう。
うまれてきてくれて、ほんとうにありがとう。
====
夜中に書いたから、どんどん筆が進んでしまい、結局便せん5枚になってしまいました…。
学校で先生から手紙をもらった息子は「僕だけ5枚もあって恥ずかしかったー」と言ってました(笑)
もちろんいつも、手紙のようなママであるはずもなく、宿題をせず遊びまくる息子に日々、鬼の形相で「勉強しなさい」と言っています。自分が雑巾のように疲れ切っていても、容赦なく甘えてくる息子を、嫌な顔でじゃけんに払いのけて、あとですごく後悔することもあります。
でも「〇〇(勉強とか)ができるから、その人を大事にするんじゃなくて、その人の存在を大切に思う」気持ちがその人の自己肯定感をはぐくむことは知っています。だからなるべく鬼になった後は、素直に「ごめんね」とか、「だいすき」とか、口で伝える事を心がけています。
世界はバランスでできていることを知っているから、何か辛いことや悲しいことがおこっても、それが糧になって良いことに転ずることを、折に触れて伝えたいと思っています。
「誰がどう思うか」の他者評価じゃなく、なるべく「自分はどうしたいか」の自分軸でいられると、自分を大切にでき、より心地よいことを知っているから、迷った時には、周りにどう思われるかより自分がどうしたいかを大切にするよう、勧めています。
そして、周りの人と助け合って生きることが、人生をより豊かにすることを体感してほしいと思っています。こんな時代だけど、周りの人と、心と心を通わせて、生きてほしいと願っています。
アメリカにいたころ、現地の方は日本人にくらべ、周りの人に本当によく「I love you」と言うのを、とても素敵だな、と思っていました。(American Beautyという映画で、それが必ずしも本心じゃない可能性があることも知りましたが(笑))日本人はシャイで恥ずかしがりだから、気持ちを素直に口にするのは苦手な方も多いですが、やっぱり気持ちは見えないから、ちゃんと言葉にしなきゃ、相手に伝わらない。
たまに(よく?)鬼になるけど、だからこそ、「あなたが大事」、「あなたを愛している」ことを、照れくさくても、言い続けたいと思っています。