
地域をサポートするシステム 子ども食堂
こちらの食堂では社会福祉協議会、生活協同組合、またはフードバンクから食べ物を調達して、最後に足りない分は地域の八百屋さんで調達しているとの事でとてもやりくりが上手です。

インターフォンを押して二階へと上がり、食堂の入り口に行くとエプロンとバンダナをつけた笑顔の素敵な女性が迎え入れてくれました。中へ入ってみると女性たちは忙しなく手を動かしていて挨拶どころではない空気。私たちも急いでエプロンと髪を覆うように帽子と手洗い。
まず始めに行ったのはお菓子の袋詰め。その日のお菓子はビール会社さんから提供されたビールクッキー。(アルコールは入っていません)クッキーは残念ながら商品化されなかったのですが、それが、廃棄されずに子ども達のところに届けられるのは嬉しい事です。こちらの食堂では社会福祉協議会、生活協同組合、またはフードバンクから食べ物を調達して、最後に足りない分は地域の八百屋さんで調達しているとの事でとてもやりくりが上手です。

hummingbirdからは、百姓農家さんの無農薬野菜を提供させて頂きました。有機の野菜は、土づくりから始まり、害虫に食べられてしまったり育てるのには時間も苦労もかかったりするのでお値段は少しかかりますが、地球環境や健康をふまえた長い目で見てみると、この金額は高くないのではと考えこの選択にしました。
沢山のお野菜が届いたので、大忙し。キッチンを仕切っている女性は、前の晩から野菜の泥を洗い、翌日に作業が始めやすい様に下準備をしてくれていたそうです。私の次のタスクは卵割り。3ダースの卵をカラが入らない様に一個ずつ丁寧に割っていきました。こんなに多くの卵を一度に割った事なんてないので、必死です!
あれよあれよ、という間に、何品目か出来てきたので今度はお弁当箱の準備です。この日は70人分のお弁当を用意しました。給食のおばさんになった気分で大きなボウルから少しずつ盛っていきます。少な過ぎず、多過ぎず、同じ量を盛って行くのもなかなか難しいです。この日のお弁当には、ケールの胡麻和え、グラタン、照り焼きチキン、ふきの煮物、カブのお漬物、卵とベーコンの野菜炒め、茹でたブロッコリー、お味噌汁と8品目も!ご飯も人参とバターが混ざったピラフ風ライスの上に自家製の人参の葉と鰹節のふりかけがのっていて、味付けも子どもたちが喜ぶ様工夫がされていました。 お弁当の準備が終わると、やっと椅子に座って作ったものをみんなで食べながら団体のお話を聞かせていただく事が出来ました。このNPO団体の設立目的は、女性と子どもの人権を守る活動だそうです。このハウスもその一環として作られたそうで、子ども食堂の上は、シングルマザー用のシェアハウスになっています。4世帯の家族が独立して住めるようになっていて、現在は満室だそうです。 子ども食堂として使われている共有スペースは、入居者はもちろん、地域の人も利用できるスペースです。このスペースを作ろうと思ったのは、お母さんたちの孤立感を埋めて、地域の人と居住者をつなぐ居場所になればという思いだがあったからだそうです。コロナによって自宅で過ごす時間が長くなり、ニュースで家庭内暴力が増えたと流れていました。こういった場所があるともっと多くの方が勇気を持って家を出られるのではないかと感じました。 建物の設計・デザインは笑顔で迎えいれてくださったNPOの代表がされたもので、コンクリートのままの壁や天井が子ども食堂をモダンな雰囲気にしていました。この土地・建物は前代表(ビルのオーナー)が提供したもので、NPOの活動をしている中で何かできることはないかという思いが実現にいたったそうです。そして、最後にはキッチンを仕切っていたやりくり上手な女性が助成金の申請や食品集めなどを行い、この食堂が形になっているそうです。お手伝いにボランティアの方々もいらっしゃっていましたが、皆さんとても仲良しそう。私までなんとなくリラックスしてしまうアットホーム食堂でした。 現在はコロナの影響でお弁当の形で食べ物を提供して形にしているため、資金は少し多くかかるのに、コミュニティの場にはなりにくくなってしまい少し残念です。

でも、逆にこんな時期だからこそ無料のお弁当はある家庭にとっては大切な食料源です。 hummingbirdからは今後、四季ごとにお野菜ボックスをいくつかの子ども食堂さんに提供して行く予定です。目的は三つあり、一つ目は環境に負荷の少ない有機野菜農家さんをサポートする事、二つ目は、農家さんから直接購入する事により、規格外の廃棄されてしまう野菜を減らす事。そして三つ目は日本でも七人に一人は貧困と言われている子どもたちにバランスの整ったご飯を提供している方々をサポートする事です。季節のお野菜を提供する事で貧困の子ども達にも食を通して四季を感じてもらい地球と近づいてもらえたらと思っています。
無駄が減り、世界中の子どもが満足に健康に食べられる世界が当たり前になって欲しいと願いを込めて、今、私たちが出来ることから行きます。